閉店や退去を考えはじめると、契約書や不動産会社との会話で、聞き慣れない言葉が次々に出てきます。原状回復、造作譲渡、敷金償却——。意味が分からないまま話が進んでいくのは、不安なものです。このページは、飲食店オーナーが退去・居抜き売却の場面で実際に出会う言葉を26語集めた用語集です。頭から読む必要はありません。下の目次から、いま知りたい言葉だけを引いてお使いください。
なお、ここに書いた内容は一般的な考え方です。実際にどうなるかは契約書の記載と物件の条件によって変わりますので、ご自身のケースについては契約書をご確認のうえ、ご相談ください。
目次(クリックすると用語に飛べます)
- 契約・手続きの言葉:賃貸借契約/解約予告/合意解約/転貸借(サブリース)/譲渡承諾料/媒介契約/保証会社
- お金の言葉:保証金・敷金/敷金償却/礼金/フリーレント/造作譲渡料/仲介手数料
- 工事・設備の言葉:原状回復/スケルトン/スケルトン戻し/造作/グリストラップ/排気ダクト/重飲食・軽飲食
- 売却・引き継ぎの言葉:居抜き/居抜き売却/造作譲渡(造作売買)/現況渡し/水面下物件/内見
契約・手続きの言葉
賃貸借契約(普通借家契約・定期借家契約)
賃貸借契約とは、店舗を借りるために貸主と結ぶ契約のことで、更新して借り続けられる「普通借家契約」と、期間が満了すると原則として終了する「定期借家契約」の2種類があります。退去や居抜き売却を考えるとき、まず確認すべきはこの種別です。定期借家で残りの期間が短い場合、買い手は設備投資を回収しづらいため、造作譲渡の条件が厳しくなる傾向があります。
解約予告
解約予告とは、契約を解約する意思をあらかじめ貸主に伝えることです。店舗の賃貸借では6ヶ月前とされていることが多く、3ヶ月前や1年前の契約もあります。予告を出した日から退去日までが、そのまま「居抜きの買い手を探せる期間」になりますので、予告を出す前にご相談いただくほど、選べる出口は増えます。居抜き売却の流れと手順もあわせてご覧ください。
合意解約
合意解約とは、予告期間や違約金の扱いを貸主と借主が話し合って決め、双方の合意によって契約を終わらせることです。予告期間を待たずに退去したいときの現実的な手段になります。居抜きで次の借主がすでに決まっていれば、貸主にとっても空室期間が生じないため、話し合いに応じてもらいやすくなります。
転貸借(サブリース)
転貸借とは、借りている店舗を借主がさらに第三者へ貸すことで、いわゆる又貸しにあたります。原則として貸主の承諾が必要で、無断で行うと契約解除の理由になり得ます。「造作だけを譲って営業を任せる」といった形も転貸とみなされる場合がありますので、契約書をご確認のうえ、進める前にご相談ください。
譲渡承諾料
譲渡承諾料とは、店舗を借りる権利(賃借権)を次の借主へ引き継ぐことを貸主に認めてもらう際、貸主へ支払う金銭です。名義変更料と呼ばれることもあります。発生するかどうか、いくらになるかは契約と物件によって大きく異なりますので、売り手と買い手のどちらが負担するかを早い段階で決めておくと、後の交渉がこじれません。
媒介契約(専任媒介・一般媒介)
媒介契約とは、売却や賃貸の仲介を不動産会社に依頼するときに結ぶ契約で、1社に任せる「専任媒介」と、複数社に依頼できる「一般媒介」があります。居抜き売却では、情報の出し方を1社でコントロールできる専任媒介のほうが、閉店の事実が従業員やお客様に伝わりにくいという利点があります。どちらが向くかは、急ぎたいのか、静かに進めたいのかで変わります。
保証会社(家賃保証会社)
保証会社とは、借主が家賃を払えなくなったときに、代わりに貸主へ家賃を支払う会社です。近年の店舗賃貸では利用が条件になっている物件が多くなっています。居抜きでは買い手が新たに保証会社の審査を受けるため、その審査が通らないと引き継ぎ自体が成立しません。買い手選びで「支払える相手かどうか」が重視されるのは、このためです。
お金の言葉
保証金・敷金
保証金・敷金とは、契約時に貸主へ預けておくお金で、家賃の滞納や退去時の原状回復費の担保になります。店舗では家賃の6〜10ヶ月分程度が目安とされますが、物件によって幅があります。退去時には原状回復費などを差し引かれて返ってくるため、居抜きで引き継げれば差し引かれる工事費が減り、手元に戻る額が増える可能性があります。飲食店の閉店費用の内訳と節約法で、戻るお金と出ていくお金を整理しています。
敷金償却(保証金償却)
敷金償却とは、預けた保証金のうち一定の割合は退去時に返さないと、契約であらかじめ決められている部分です。たとえば「償却20%」と書かれていれば、その分は理由を問わず戻りません。閉店時の手残りを計算するときは、預けた金額をそのまま当てにせず、償却分を差し引いて考えてください。割合は契約書に明記されています。
礼金
礼金とは、契約時に貸主へ支払う、退去しても返ってこないお金です。保証金・敷金と違って戻らないため、閉店時の収支計算には含めません。なお買い手が新規で契約を結び直す場合、礼金は買い手側の負担になります。
フリーレント
フリーレントとは、契約開始から一定期間、家賃が無料または割引になる特約のことです。買い手にとっては開業準備中の負担が軽くなるため、居抜きの募集条件にフリーレントが付いていると、引き継ぎ手が見つかりやすくなります。貸主との交渉事項ですので、条件を整える段階で相談する価値があります。
造作譲渡料
造作譲渡料とは、店舗の内装・厨房設備などを次の借主へ譲るときに、買い手から売り手へ支払われる金銭です。金額は設備の新しさよりも「その場所に出店したい人がどれだけいるか」で決まる傾向があり、設備が古くても立地が良ければ値がつくことがあります。造作譲渡の相場はいくら?業態別データと高く売る5つのコツで、業態ごとの考え方をまとめています。
仲介手数料
仲介手数料とは、売買や賃貸の仲介をした不動産会社に支払う報酬のことです。居抜きでは造作譲渡の仲介と、賃貸借契約の仲介とで、支払先や計算の元になる金額が異なる場合があります。弊社の居抜き売却は着手金0円・完全成果報酬ですので、成約に至らなかった場合に費用をいただくことはありません。
工事・設備の言葉
原状回復
原状回復とは、退去するときに店舗を借りたときの状態に戻して返すことです。どこまで戻すかは契約書で定められており、内容は物件ごとに違います。飲食店は厨房・排気・給排水の撤去を伴うため、他業種より費用が膨らみやすいのが実情です。店舗の原状回復費用の相場と回避法で、坪単価の考え方と抑え方を解説しています。
スケルトン
スケルトンとは、内装・設備が何もなく、コンクリートの躯体がむき出しになっている状態のことです。「スケルトン渡し」の物件を借りる場合は、内装工事を一から行う必要があります。逆に、契約に「スケルトンで返す」とあれば、退去時に撤去費用が発生します。
スケルトン戻し
スケルトン戻しとは、内装・設備をすべて撤去してスケルトン状態に戻す工事のことで、原状回復のなかでも負担がもっとも大きい形です。坪単価で見積もられることが多く、設備の点数が多い飲食店では金額が大きくなりがちです。スケルトン戻しの費用|坪単価・業態別相場に、業態別の目安と回避した事例をまとめています。
造作
造作とは、店舗に備え付けられた内装・厨房機器・空調・カウンターなど、営業に使う設備一式のことです。この造作をどう評価するかで譲渡料が変わります。弊社では、二級建築士の資格を持つ代表が現地で内装・設備の状態を確認したうえで査定しています。
グリストラップ
グリストラップとは、厨房の排水に含まれる油や食材くずを分離し、そのまま下水へ流さないための装置です。多くの自治体で、条例により飲食店への設置が求められています。すでに設置されている物件は、買い手が新設工事の費用と手間を省けるため、居抜きの価値を押し上げる要素になります。
排気ダクト
排気ダクトとは、厨房で出た煙や熱、においを屋外へ排出するための管のことです。ダクトの経路が確保されているかどうかは、火や油を使う業態で出店したい買い手が最初に確認する点です。新設は建物の構造上できないこともあるため、既存のダクトはそれ自体が居抜きの大きな価値になります。
重飲食・軽飲食
重飲食とは、火や油を多く使い、排気・給排水の負担が大きい業態のことで、焼肉・中華・ラーメンなどが該当します。対してカフェやパン店のように負担の軽い業態を軽飲食と呼びます。物件によっては契約で重飲食が不可とされているため、重飲食可の居抜き物件は希少で、買い手が集まりやすい傾向があります。
売却・引き継ぎの言葉
居抜き
居抜きとは、内装・設備を残したまま次の借主へ店舗を引き渡すこと、またはその状態の物件を指します。撤去工事をしないため、売り手は原状回復費を抑えられ、買い手は開業時の設備投資を抑えられます。双方に利点があるからこそ成り立つ引き継ぎ方です。
居抜き売却
居抜き売却とは、店舗の造作を次の借主へ有償で譲り、賃貸借契約を引き継いでもらう形の撤退方法です。スケルトンに戻して返す場合と違い、原状回復費がかからないうえ、造作譲渡料が手元に入ることもあります。飲食店の居抜き売却とは|300万が660万に化けた実例付きで、仕組みと実際の金額を解説しています。
造作譲渡(造作売買)
造作譲渡とは、店舗の内装・設備の所有権を売り手から買い手へ移す取引で、居抜き売却の中心となる契約です。譲る範囲を「厨房機器はどれか」「リース中の機器はあるか」「看板は含むか」まで一覧にして明確にしておくと、引き渡し後のトラブルを防げます。リース物件は所有権が自分にないため、そのまま譲ることはできません。
現況渡し
現況渡しとは、修繕や入れ替えをせず、いまの状態のまま引き渡すことです。居抜きの造作譲渡は現況渡しが基本になります。故障している設備や交換が近い機器があれば、隠さずに事前へ伝えて合意しておくことが、引き渡し後の行き違いを避ける一番の方法です。
水面下物件
水面下物件とは、ポータルサイトなどに公開されず、限られた仲介会社と買い手の間だけで情報が動いている物件のことです。閉店をまだ公にしたくないときに使われます。従業員・お客様・取引先に知られないまま買い手を探せるため、営業を続けながら出口を用意したい方に向いた進め方です。
内見
内見とは、買い手候補が実際に店舗を見に来ることです。居抜きでは厨房や設備の状態を見てもらうため、内見の印象が造作譲渡料に直結します。営業終了後や定休日に設定すれば、従業員やお客様に気づかれずに行えますので、日程は無理のない範囲で調整できます。
用語の先にある判断でお困りのときは
ここに挙げた言葉は、どれも契約書の記載と物件の条件によって中身が変わります。ご自身の店舗でどうなるかは、契約書をご確認のうえご相談ください。株式会社ネクストでは、二級建築士の資格を持つ代表が内装・設備の価値まで確認し、着手金0円・完全成果報酬で居抜き売却をサポートしています。無料査定のご相談はこちら、またはLINEでの無料相談もご利用いただけます。
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