「もう限界かもしれない」——そう思いながらも、誰にも言えずに毎日店に立ち続けているオーナーは、決して珍しくありません。
飲食店の経営は、体力も気力も資金も、すべてを注ぎ込むものです。それでも思うように売上が伸びない、人が集まらない、毎月の返済が重くのしかかる。「辞めたい」と感じることは、弱さではありません。真剣に経営に向き合ってきた証です。
この記事では、実際に弊社(株式会社ネクスト)にご相談をいただいた飲食店オーナーの事例をもとに、「辞めたいと感じる主な理由」と「次の一歩として取れる選択肢」を整理します。閉店を決断することへの不安を、少しでも和らげるお手伝いができれば幸いです。
飲食店を「辞めたい」と感じるのは、あなただけではありません
まず知っておいていただきたいのは、飲食業は構造的に厳しい業界であるという事実です。
東京商工リサーチの調査によると、2025年の飲食業倒産件数は史上初めて年間1,000件を超えました。2026年1月単月だけで92件と、過去30年間で最多を記録しています(帝国データバンク調べ)。飲食サービス業の年間廃業率は5.6%で、全業種中ワースト水準です。
開業率は17.0%と高い一方で、廃業も多い「多産多死」の構造になっています。多くのオーナーが精一杯努力しながらも、経済環境や外部要因によって厳しい判断を迫られています。
「辞めたい」と思ったとき、それはむしろ現実を正面から見据えている証かもしれません。
飲食店を辞めたいと感じる6つの理由
弊社にご相談いただくオーナーの声をもとに、よく聞かれる理由を6つまとめました。いずれも、追い詰められてから気づくケースが多いものです。
1. 売上の悪化・赤字の継続
最も多いご相談です。「一時的な落ち込みだ」と信じて耐えているうちに、赤字が積み重なってしまうケースが多く見られます。
実際に弊社が担当した事例では、相談に来られたオーナーの多くが、すでに未払い金や融資残高が多額になっている状態でした。「もう少し頑張ろう」とメニューを変えたり内装を直したりと改善を重ねるうちに、追加融資が増えていくパターンが典型的です。売上回復のためにお金をかけることが、かえって経営を圧迫してしまう悪循環に陥ります。
2. 体調を崩したとき
飲食業は体力勝負の仕事です。睡眠不足・立ち仕事・精神的なプレッシャーが重なり、ある日突然体が動かなくなるケースがあります。
「体が限界だから」という理由での閉店は、決して恥ずかしいことではありません。健康を失ってしまえば、再起すら難しくなります。早めの判断が、次の可能性を守ることにもつながります。
3. 外部要因による精神的な消耗
売上や収益だけが原因とは限りません。弊社に相談をいただいた中には、関西から女性が一人で上京し、長年飲食店を営んできた方のケースがありました。周辺住民からの継続的な嫌がらせを受けながら10年間耐え続けてきたものの、心身ともに限界に達し、閉店を決断されました。
経済的な問題でなくても、「もう続けられない」という判断は正当です。むしろ、そこまで耐えてきたことそのものが、並外れた力の証といえます。
4. コロナ後に売上が戻らず、融資返済が重くなった
コロナ禍に借り入れたゼロゼロ融資(無利子・無担保融資)の返済が2023〜2024年ごろから本格的に始まり、売上がコロナ前に戻り切らないまま返済だけが増えていくケースが多く見られます。
「もう少し待てば売上が戻るかもしれない」という期待が、閉店判断を遅らせてしまうこともあります。返済の見通しが立たないと感じたタイミングで、専門家(税理士・公認会計士)に相談することをおすすめします。
5. 食材費・人件費の高騰で利益が出なくなった
仕入れコストの上昇は、どのオーナーも実感していることです。米・油・肉類など主要食材が軒並み値上がりするなか、価格転嫁(値上げ)をためらって利益が消えていくケースが増えています。
飲食・宿泊業の年間離職率は18.1%と高く、採用コストと人件費の負担も軽くありません。売上が変わらなくても、コスト増加だけで赤字に転落することがあります。
6. 人材不足・店長不在で心が折れた
現場を任せられる信頼できるスタッフが育たない、雇うたびにすぐ辞めてしまう——こうした状況が長く続くと、オーナー自身が休めない日々が続きます。
弊社への相談の中には、「信頼していた店長が突然退職し、それ以来自分が毎日入り続けているが、もう体も気力も限界」というオーナーもいらっしゃいました。経営の問題でなく、人の問題で心が折れることも、立派な閉店理由です。
「もう少し頑張ろう」が危険なサインになることもある
辞めたいという気持ちが出てきたとき、多くのオーナーは「まだ諦めるのは早い」と自分を奮い立たせます。それ自体は悪いことではありません。しかし、状況によっては「もう少し」が逆効果になることがあります。
具体的には次のような状態が続いている場合は、早めに専門家への相談を検討することをおすすめします。
| 状態 | 判断の目安 |
|---|---|
| 3ヶ月以上連続して赤字 | 収支改善の具体策がなければ要検討 |
| 融資返済に売上が追いつかない | 追加融資は慎重に。税理士へ相談を |
| 体調不良が1ヶ月以上続いている | 健康を最優先に判断する |
| 毎月の手元資金が減り続けている | 資金ショートの前に行動する |
| 精神的に限界を感じている | 無理な継続は回復をさらに遅らせる |
閉店の判断に「正解のタイミング」はありませんが、動ける状態のうちに動くことが、損失を最小限にするうえで大切です。
飲食店を辞める方法:閉店と居抜き売却の違い
「辞める」といっても、方法は一つではありません。大きく分けると「スケルトン返し(原状回復して閉める)」と「居抜き売却(内装・設備を次のテナントに譲渡する)」があります。
| 方法 | 概要 | 費用感 | 収入 |
|---|---|---|---|
| スケルトン返し(原状回復) | 内装を撤去し、入居前の状態に戻す | 数十万〜数百万円(規模・物件による) | なし |
| 居抜き売却 | 内装・設備のまま次のテナントに譲渡 | 基本ゼロ〜低コスト | 造作譲渡料(数十万〜数百万円) |
原状回復費用は物件の規模や貸主の条件によって大きく異なります。弊社が担当した事例の中には、高架下の約30坪の物件で原状回復費用が1,800万円になったケースもありました。その物件では居抜き売却に切り替えることで費用がゼロになり、さらに造作譲渡料として収入を得ることができました。
閉店を考え始めたら、まず原状回復の見積もりを取る前に、居抜き売却の可能性を確認することをおすすめします。
「辞めたい」と思ったら、まず相談してください
閉店の決断は、オーナー一人で抱え込む必要はありません。むしろ、専門家に早めに話を聞いてもらうことで、選択肢が広がることがあります。
弊社・株式会社ネクストでは、閉店・売却のご相談を無料でお受けしています。「まだ決めていないが話だけ聞きたい」という段階でも、まったく問題ありません。
閉店を「失敗」と思わないでください。長年にわたって飲食の世界で戦い続けてきたこと、それ自体に大きな価値があります。次の一歩を、一緒に考えさせてください。
よくある質問
飲食店を辞めたいと思ったとき、まず何をすればいいですか?
最初に行うべきは、現状の財務状況の確認です。月々の収支・融資残高・未払い金を整理し、あと何ヶ月持ちこたえられるかを把握します。次に、賃貸借契約書を確認して解約予告期間(一般的に3〜6ヶ月前の通知が必要)を確認してください。その上で、税理士や居抜き売却の専門家に相談するのが現実的な流れです。
赤字でも居抜き売却できますか?
店舗の経営状況と居抜き売却の可否は、基本的に別の問題です。内装・設備に価値があれば、たとえ赤字店舗でも造作譲渡料を得られる可能性があります。ただし、賃料滞納がある場合は貸主との交渉が必要になることがあります。詳しくは弊社の無料査定でご確認ください。
閉店を決めてから実際に閉めるまで、どれくらい時間がかかりますか?
居抜き売却の場合、早ければ1〜2ヶ月で成約するケースもあります。ただし、賃貸契約の解約予告期間(3〜6ヶ月)があるため、実際の退去はそれ以降になります。スタッフへの通知や各種手続き(社会保険・税務・許認可の廃業届など)も並行して進める必要があります。余裕を持った計画が大切です。
まとめ:辞めたいと感じたなら、その気持ちを大切に
「飲食店を辞めたい」という気持ちは、弱さの証ではありません。限界まで頑張ってきたからこそ、生まれる感情です。
大切なのは、その感情を無視して無理を続けることではなく、「どう辞めるか」「次をどう生きるか」を冷静に考える余裕を持つことです。
- 辞めたいと思う理由を正直に言語化する
- 財務状況・契約内容を確認する
- 居抜き売却という選択肢を知っておく
- 一人で抱え込まず、専門家に相談する
動ける状態のうちに一歩を踏み出すことが、最終的な損失を減らすことにつながります。
店舗の売却・閉店についてお悩みの方へ。株式会社ネクストでは、二級建築士の資格を持つ代表が内装・設備の価値まで正確に査定し、着手金0円・完全成果報酬で居抜き売却をサポートしています。無料査定のご相談はこちら、またはLINEでの無料相談もご利用いただけます。
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