「もう限界かもしれない」——そう感じながら、今日も店を開けているオーナー様へ。毎月の借金返済に追われ、廃業を考え始めたとき、最初に頭をよぎるのは「自己破産しかないのか」という不安ではないでしょうか。でも、実際にはいくつかの選択肢があります。この記事では、飲食店が抱えやすい借金の種類と、廃業にあたって取れる選択肢を、居抜き売却の活用も含めて整理します。
飲食店の借金で「廃業」を考えたとき、まず知ってほしいこと
廃業は「失敗の証明」ではありません。2025年、飲食業の倒産件数は1,002件と、1996年以降の30年間で初めて1,000件を超えました(東京商工リサーチ調べ)。食材費・人件費の高騰、ゼロゼロ融資の返済本格化——多くのオーナーが同じ状況に追い詰められています。
大切なのは、「どう閉めるか」「何を残さないか」を早めに考えることです。放置して借金が膨らむほど、選択肢は狭くなっていきます。
飲食店が抱えやすい借金の種類
まず、自分の借金がどのカテゴリに属するかを整理しましょう。借金の種類によって対処法が変わります。
| 種類 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 金融機関からの融資 | 日本政策金融公庫・銀行・信金など | 保証人がいる場合、保証人にも請求が来る |
| 買掛金・未払金 | 食材仕入れ先・業者への支払い | 少額でも複数積み重なると大きな金額になる |
| リース契約 | 厨房設備・POSレジ等のリース残債 | 中途解約で違約金が発生することが多い |
| 店舗物件費用 | 賃料の未払い・解約予告期間の賃料 | 解約通知から退去まで数ヶ月分の賃料が必要 |
| 公共料金・その他 | 電気・ガス・水道の未払い | 滞納が続くと供給停止になるケースも |
融資の保証人問題は特に深刻です。次の章で説明する「任意整理」を使えば、保証人付きの債務を対象から外すことができる場合があります。まずは弁護士・司法書士への相談をお勧めします。
廃業時に選べる4つの債務整理の方法
借金の整理には、大きく分けて4つの方法があります。それぞれ費用・効果・リスクが異なります。
| 方法 | 概要 | 借金への効果 | 保証人への影響 | 費用感 |
|---|---|---|---|---|
| 任意整理 | 弁護士が債権者と直接交渉。裁判所を使わない | 利息・遅延損害金をカット、返済額を圧縮 | 対象から外せる(保証人を守れる) | 弁護士費用数十万円程度 |
| 小規模個人再生 | 裁判所を通じて債務を最大5分の1に圧縮 | 元本を大幅カット後、3〜5年で返済 | 保証人に請求が来る可能性あり | 弁護士費用+申立費用 |
| 特定調停 | 裁判所の調停委員が債権者と調整 | 返済条件の緩和(元本減額は難しい) | 保証人に請求が来る可能性あり | 比較的安価 |
| 自己破産 | 裁判所に申立て、免責許可で債務をゼロに | 借金が全額免除(免責) | 保証人に全額請求が来る | 弁護士費用+申立費用 |
どの方法が適切かは、借金の総額・保証人の有無・資産状況によって変わります。税理士・弁護士への早めの相談が重要です。「自己破産しか選択肢がない」と思い込まずに、専門家に相談してみてください。
居抜き売却で借金を減らす方法——閉店コストを収入に変える
債務整理と並行して活用したいのが「居抜き売却」です。居抜き売却とは、厨房設備・内装・什器をそのまま次のテナントに譲渡して、造作譲渡代を受け取る方法です。
廃業時に通常かかる費用と、居抜き売却した場合を比較すると次のようになります。
| 項目 | スケルトン返却(原状回復) | 居抜き売却 |
|---|---|---|
| 原状回復費 | 坪5〜15万円(20坪なら100〜300万円) | 基本的に不要(買い手が引き継ぐ) |
| 設備・内装の価値 | 廃棄(ゼロ) | 造作譲渡代として現金化できる |
| 閉店にかかる期間 | 工事期間も含め数ヶ月 | 早ければ1〜2ヶ月で成約 |
この「原状回復費用がかからなくなる」+「造作譲渡代が入る」という2つの効果が、借金返済の助けになります。
ただし、居抜き売却で得られる金額が借金全額をカバーできるとは限りません。次の章で、特に注意が必要なケースを説明します。
複数店舗経営なら「赤字店舗だけ」を手放す選択肢がある
実際に弊社が担当した事例では、複数店舗を運営している経営者が、赤字になっている1店舗を居抜き売却することで、経営全体が立て直せたケースが複数あります。
赤字店舗が1つあるだけで、毎月の固定費(賃料・人件費・光熱費)がグループ全体の資金繰りを圧迫します。その店舗を手放すことで、残りの店舗に資金と人手を集中させられます。
ただし、営業年数が短い店舗は居抜き売却だけで残債を完済するのが難しいケースが多いです。たとえば開業から1〜2年の店舗は、融資の返済がほとんど進んでいないため残債が大きく、造作譲渡代だけでは不足することがあります。この場合は、居抜き売却による回収額と残った借金の整理を、弁護士と相談しながら並行して進めるのが現実的です。
「もう少し頑張ろう」が状況を悪化させるパターン
弊社に相談に来るオーナー様の多くは、すでに限界を超えて頑張っています。「もう少しでV字回復できるかもしれない」とメニュー変更・内装リニューアルのために追加融資を重ねてしまうパターンが、借金をさらに膨らませる典型的な悪循環です。
集客施策(SNS運用・SEO・Googleマップ対策)は、効果が出るまでに最低でも半年〜1年かかります。その間にも借金は増え続けます。「いつまでに黒字化できるか」の見通しが立たない状況であれば、早めに出口を検討することも、経営判断として合理的な選択です。
決してあなたが弱いのではありません。環境が変わったのです。
よくある質問
Q. 借金がある状態で居抜き売却はできますか?
A. はい、できます。融資の残債があっても居抜き売却は可能です。売却で得た造作譲渡代を返済に充て、不足分を債務整理で整理するという組み合わせが、負担を最小化する方法の一つです。まずは現在の借金総額と店舗の査定額を把握することから始めましょう。弊社では無料で査定をおこなっています。
Q. 自己破産すると保証人(家族・友人)はどうなりますか?
A. 自己破産を選んだ場合、保証人には借金の全額が請求されます。保証人への影響を最小限にしたい場合は、「任意整理」が一つの選択肢です。任意整理は対象とする債務を選べるため、保証人付きの借金を対象から外すことができます。ただし状況によって異なるため、弁護士への相談を強くお勧めします。
Q. 営業年数が短い店舗でも居抜き売却は意味がありますか?
A. 居抜き売却自体は可能ですが、営業年数が短いと融資の残債がまだ多く残っている場合がほとんどです。造作譲渡代で残債を全額カバーするのは難しいケースが多いです。ただし、原状回復費用(数十万〜数百万円)を節約できる効果は確実にあります。残債については弁護士・税理士と相談しながら整理方法を検討しましょう。
まとめ
飲食店の借金と廃業について、大切なポイントを整理します。
- 2025年の飲食業倒産は1,002件と史上初の1,000件超え。苦しんでいるのはあなただけではありません
- 借金の整理方法は「任意整理・小規模個人再生・特定調停・自己破産」の4種類。保証人を守りたいなら任意整理が有効
- 居抜き売却を使えば、原状回復費用をゼロにしつつ造作譲渡代を返済に充てられる
- 複数店舗経営なら赤字店舗だけを居抜き売却して経営を立て直せるケースがある
- 営業年数が短い店舗は残債が多く、居抜き売却と債務整理の併用を検討する必要がある
- 「もう少し頑張ろう」と追加融資を重ねるほど選択肢は狭くなる。早めの相談が重要
税務・法務に関わる判断は、必ず弁護士・税理士への相談をおこなってください。弊社は居抜き売却の専門家として、店舗の価値を正しく査定し、閉店のコストを最小化するお手伝いをしています。
店舗の売却・閉店についてお悩みの方へ。株式会社ネクストでは、二級建築士の資格を持つ代表が内装・設備の価値まで正確に査定し、着手金0円・完全成果報酬で居抜き売却をサポートしています。無料査定のご相談はこちら、またはLINEでの無料相談もご利用いただけます。
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